原作好きすぎた、の、か。

お久しぶりでございます、すえさわです。
発掘もなんとか無事に終わりました。日焼けで焦げたり、ぞーざん水でかっさかさになったり、後輩にいらっとしたりしましたが、期間内に無事に終わりました。春休みという名の休めない休みだったので、実質休みは1週間とかです。ええ。本当にありがとうございます。

そんなこんなで当方も2年目です。明日には後輩が入ってきます。ああああ。
近況も報告していないし、いろいろやることがあるんですが、その前に何かしら遊んでやる!!と思って行ってきた映画「ソラニン」の感想を書きなぐっておきたいと存じあげる次第です。


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ソラニン」感想

個人的には、一言で言うなら「生殺しにされた」感じなのですが。
ざっとネットで見ると結構高評価なので、あたしが細かすぎるのかもしれないというか。原作が好きすぎて比較しすぎかもしれません。
悪しからずご了承くださいまし。

まずよかったところを。
色遣いや風景がとてもよかった。キャラクターの出し方とかも、コミカルな原作を崩しすぎず出しすぎず、という点がよかったなー。演奏シーンとかも悪くなかった。音楽に関してはent(=ホリエアツ氏)だし、アジカンソラニンもよかったと思います。ライブのシーンとかは「ああああ!!ライブ行きたいわ!!!」ってなりました。宮崎さんの歌声も好きだ。
一番よかったと思うのは種田!!種田役の方(←名前を調べなさい)!!個人的に最高のはまり役だったんじゃないかと思っています。「君の言動はいちいちプレッシャーなんだよ」のセリフとかものすごくはまっていたような。


で、何が不満だったかというと。
後半で、物語がどこに向かっているのかがふとわからなくなったまま終わってしまった感じがあったんです。
なんでこう思ったのか考えてみたのですが、あたしが物語を読む上で重要な要素だと思っていたセリフが映画になる上でわりと削られていたように思います。
たとえば人ごみの中で芽衣子が過去の自分とすれちがうシーンの「ああ…あの頃の私はもがきながらもなんとか東京で自分の足で生きていこうとしてたんだ」(←原作引いてない、うろ覚えですみません)。それまで否定的だった会社で働いていたころの自分を肯定することができて、そしてようやく今の自分を見つめなおすことができる転機だったと原作を読んだ時は受け止めていたし、あのセリフがないと何故あのシーンが必要だったのかどうか分かりにくいように思います。原作読んでない人はどう受け取ったのだろう。あまり気にならなかったのかな。それならそもそもあのシーンの必要性ってなんだったのだろう。

とまぁそんな感じで、芽衣子が会社を辞める動機についてもっと語ってもいいんじゃないかとか、芽衣子は種田が大人になっていこうとしている(社会に適合していこうとしている)ことにいら立ちを感じているんだとか、何故ギターを弾こうと思ったのかの説明がもっとほしかったとか、そもそもライブのシーンとかもっとひっぱってもよくない?とか、なんでサエキさんがロッチのライブに来たのかわからなくない?とか

セリフとかがないから「語り」が足りない!!説明が足りない!!と。思ってしまうようです。


あたしは「ソラニン」を、社会に適応したり大人になることに抵抗感を抱き、自分はこんなもんじゃないとか、もっと他にやりたいことがあるのではないかと悩んでいる「なにものかになりたい」(諦めていない)若者の話として好きなようでして。そして大切な人の喪失から始まる音楽との出会い(音楽を介して訪れる変化)、そして最後にもう一度社会に戻っていきそこで生きていこうとする、という話の流れがとても好きなようでして。
だからそういう話の流れの中で必要だと(あたしは)思っていたセリフやシーンがなかったことでなんだか全体の趣旨があいまいになってしまったように感じたのではないかと。思いました。


もともとある作品を映画に合うように、映画として魅力あるように作るのは大変なことだと思います。映画としてつじつまを合わせつつ作品として完成させるのはえらいこってす。やれと言われて出来るかと言われたら謝る感じ。

というのを考えたら、やはり思うのは「原作の完成度の高さ」になってしまう。
お話としての魅力はおそらく映画でも十分だったのではないかと。原作を読んでなくてもけっこう伝わったのならやはり映画としては成功だったはず。
でも自分は原作の心理描写、コマ割、表情などが好きすぎて、あれをどう乗り越えてくるのか、映像化でどう補ってくれるのかに期待していたから、物足りなかったんだろうなぁ。
漫画ではなく映像にして一番期待できるのは何か、と言われたら「音楽に関するシーン」だと思っていたので、だからこそもっと最後のライブとかをもっと上手く表現できなかったのかとか思うのですが、それは高望しすぎなんだろうなぁ。「鉄コン筋クリ―ト」のEDで流れた「或る街の群青」の感動があって、DMCがまた予想以上だったもんだから、アジカンの音楽と映画のコラボに対する期待ハードルをがんあげしていた節もあるかも。

そもそもはアジカンの「ムスタング」が好きすぎて、ムスタングに関連するものとして「ソラニン」を読んだんだよねぇ。ある意味一週してしまった。


久々に帰ってきたと思ったら、長々失礼しました。

映画で興味をもったら漫画も読んでみてもらいたいなぁ。プンプンの発想もなかった!!すげえ!!って勝手に思っていたのですが、改めて浅野いにお氏ってすごい漫画家さんだなぁ…