【考えたこと】身体と精神、とか

なんか急に読みたくなったので本棚をあさったら「迷宮百年の睡魔」がなかったので女王の方を読む。
一番好きな森博嗣作品と思っている(犀川&萌絵シリーズじゃないとかまさかの外道)、くせに所蔵していないという…幻冬舎文庫で買ったつもりになっていた。
しかも貼ってあるのは漫画の方w

※以下ネタばれ注意

高校生のときに図書館で借りたのは迷宮〜の方だった。表紙の僧侶にシジャケ惚?した思い出。

このシリーズの何が好きかというと、「身体と精神」であるとか「生と死」であるとかに対する哲学的な問いかけをストーリーとキャラクターに含めている点なんだけど。
高校生の私にクリーンヒットしたのは主人公のミチルとロイディ(ウォーカロン、森世界のアンドロイドといえばいいのか)の関係が実に倒錯的だったこと。もっといえばミチルの不安定さと「両性具有」っぷり。

主人公のミチルは「男」なんだけど、とある事件により体は死んだ恋人(女性)の体になっていて、しかも脳が体に入らなかったので、脳はロイディの中にあり、体には通信用の機械が入っていてそれが壊れると体が動かせなくなるという。もっとも生命活動には支障がないらしいが…すごい設定だなおい。

作中で何度もミチルは問いかけられる。ミチルは「生きて」いるのか?男なのか?しかも迷宮百年の睡魔ではさらに「存在」に追い打ちをかけるように、クローンであることが明かされる。
「生きている」「存在している」という不確かさ。だけど「ここにいる」と思っている「自分」。これは「精神」、もっといえば「魂」と言えるんだろうか。
十代後半の自分にとって、それは大きな問いかけだったと思う。

ただ、確かなのは、「サエバ・ミチル」はミチルの思うミチルとは違うのである。他人からみたミチルうんぬんもあるけれど、今のミチルは「女性の体をもった」ミチルなのである。
それが私がとびきり引かれた理由だった。
厨二どころか高二病乙wwというのはまあ一端置いといて。

作中のミチルとロイディは、「男」と「女」以外の何物でもないというか。逆にいえばミチルのロイディに対する態度…甘えたりわがままを言ってみたり、依存したり突き放したり…は、男の身体だと起こり得なかったように思う。

何が言いたいかというと。
「私」という存在…ここにいる!と思っている自分は、あると思っている「魂」「精神」は、身体からの影響を受けずに存在しえない、切り離せないのである。
自分は女性なので、生理前に妙に不安定になったり落ち着かない…という経験があるからなおさらそう思うのかもしれない。
お腹がすいたらつらくて寂しい気持ちになる。悲しい気持ちになるときもある。そういうのも結局は身体に縛られているんだなと思う。

恋愛が「思い込み」あるいは「勘違い」などから始まる…のも、ようは身体の動揺とか調子とか、生殖本能とかに左右されている部分は大いにあるんじゃないかと思うのである。

そう思うとなんだか悔しいのは私だけだろうか。

男女の間で友情が成立するか否か、というのはよく論争になるけれど、ようは身体の動揺に左右される可能性を否定できないというのをみんなそれなりに自覚しているんじゃないだろうか。
精神が身体に左右される、というのは自明なんだけど、普段自覚することはない。なかなかない。

えーと。前置き?が長くなったような。
ようはするに、今日は考えたのだ。で、書きたくなったのだ。久しぶりに、長文で書いておきたかったのだ。

恋に落ちるのは簡単である。基本的には身体が生殖本能をもって、そそのかすのだから。でもその恋が落ち着く瞬間は必ずやってくる。大なり小なり。
それでも相手を大事にできるのは、その期間に残るもの、「関係性」とか、沢山喧嘩したとかどっか行って楽しかったとか、そういう「絆」があるからなんだと思う。それを愛と呼ぶんだろう、ようするに。
駆け落ちするのは簡単である。恋してるからね。本能にしたがってるし。愛もあるでしょう。
でも駆け落ちしたあと、10年20年後悔せずに幸せにやっていけるかは、まったく別の問題なのである。
だから恋物語はくっついたら終わるし、叶わないからといって心中してしまう。お前ら生きて幸せになる覚悟はなかったのか?!「めでたしめでたし」でその後が語られることはほとんどない(例外は原作ハウルくらいかなー。あのラスト、大好きです)。

脳みそや身体に左右されるのが人間なんだな。それは仕方ない。でも人間の人間らしいところは「精神」や「魂」を脳みそに生み出したところだと思う。
男女含めいろんな人間関係があるけれど、身体に振りまわれることなく、男女関係なく、お互いを尊重できる付き合いができるのが私の理想なんだろう。
まあ「体ごときに左右されてたまるか!!」みたいな変な反骨精神も含まれているんだろうけど。


長くなった。てか多分起きたら呆れるなコレ。
いつかもうちょっと推敲したいです…お休み